ストーリー Story of Vending Machine


自販機の歴史

1.自販機のルーツ (紀元前〜)

自販機の歴史は古くエジプトに溯ります。アレキサンドリアの科学者ヘロン(HERON)が著した「気体装置(PNEUMATIKA)」に硬貨をいれると水が出て来る装置についての記述があります。これが自販機のルーツであり、紀元前215年頃にエジプの寺院に「聖水(いけにえ)の水」を売るために設置されていました。
一方、我が国の自販機第1号は、明治時代に発明家・俵谷高七が考案したたばこ等の物品を売る機械です。この自販機は明治23年に特許を受けていますが実用には至りませんでした。俵谷はその後、明治37年に「自働郵便切手葉書売下機」を完成させ、逓信(現在の郵政省)に採用されています。この機械は、外枠が木製で装飾が施され、全体が切手販売とはがき販売とポストの3機能一体化形式のユニークなものでした。
普及型自販機としては、大正13年に中山小一郎が制作した袋入り菓子自販機が最初です。その頃、新聞漫画で人気のあった「ノンキな父さん」が外枠に描かれたこの機械は、全国の菓子店の店頭などに数多く設置されました。
その後、日本の自販機工業は、菓子、たばこ、切手等の自販機を中心に展開されましたが、第二次世界大戦の勃発により鉄鋼製品製造禁止令が出たため、中断されました。

聖水自販機 自働郵便切手葉書売下機



上部の口から硬貨を投入すると、その重みで受け皿が傾き、硬貨が落下して受け皿が元の状態に戻るまでの間、出口の栓が開いて水が出る仕掛け。 提供:逓信総合博物館
菓子自販機 噴水型ジュース自販機


提供:入江こども文化史研究所 提供:ホシザキ電機



2.自販機産業の幕開け (昭和30年代〜)

第二次世界大戦後の復興が進む昭和32年、10円を入れると紙コップに一定量 のジュースが出てくる飲料自販機が開発されました。この自販機は、機械上部にアイキャッチ用の噴水が取り付けられていたことから「噴水型ジュース自販機」と呼ばれ、爆発的な自販機ブームを現出させました。 この噴水型ジュース自販機は、消費者に新しい現代的な購買スタイルをもたらし、以後の我が国における自販機の高普及に大きな役割を果 たしました。
その後、続いて登場したのがコーラ自販機です。米国の大手コーラ会社の日本市場への本格的な進出により昭和37年に流通 革命の担い手として自販機の展開が始まりました。当初はびん自販機で、昭和40年代半ばから缶 自販機が登場しました。コーラの売り上げの驚異的な伸びに自販機チャネルの活用が大いに寄与したわけですが、同時に優れた自販機マーケティング戦略、オペレーションのノウハウは、日本の自販機産業の発展に大きな影響を与えました。



3.自販機大国への道のり (昭和50年代〜)

経済が発展し、人々が豊かさを求めるようになるに従って、自販機はグラフ8に見られるように昭和50年頃から急速に普及し始めました。経済の高度成長により消費財の大量 生産体制が確立し、これに見合った大量流通手段が必要となり、このようなニーズに応えたのが自販機とスーパーマーケットでした。
主力の中身商品である飲料分野においては、缶コーヒーの出現に伴い、世界でも例を見ない温かい飲料と冷たい飲料が1台の自販機で販売できるホット&コールド缶 飲料自販機が開発され、普及促進への大きなステップとなりました。ホット&コールド缶 飲料自販機の展開により、 流通業者はロケーションのスペース効率がアップでき、1年を通 して平均した売り上げを得ることができるようになりました。
原料を調理して紙カップなどで販売するカップ式自販機分野では、インスタントコーヒー機から、レギュラーコーヒー機、さらには機内でコーヒー豆を挽くミル付きレギュラーコーヒー機へと変遷し、消費者の嗜好の変化に即応してきました。
また、自販機高普及の基盤を確たるものとしたのが昭和42年の新100円・50円硬貨の発行です。それまでは100円のコイン化が遅れており、自販機の普及に大きな障壁になっていました。しかし、新硬貨は、素材が銀からは白銅に変更されたことから、大量 製造が可能となり、硬貨の大量流通は、自販機流通のインフラ整備に役立ち、国民の自販機利用の馴化が進みました。その代表的な例が乗車券自販機でしょう。
乗車券の自動販売は戦前から小規模ながら実施されてきましたが、本格的になったのは昭和43年に国鉄(現在のJR)が出改札業務の合理化のため東京の山手線の全駅に乗車券自販機を導入してからです。乗車券自販機の普及により多くの国民が抵抗なく自販機から物を購入する習慣が一般 化しました。さらに、エレクトロニクス技術の活用により、新幹線の高額特急券なども自販機から安心して買えるようになりました。
一方、これらの技術開発とは別の視点で自販機進展の要因を考えますと、中身商品メーカーによる積極的な自販機展開が挙げられます。 日本は治安が良く、自販機の屋外設置が可能で、中身商品メーカーは自販機を「自社商品専用の重要な販売ツール」として位 置づけ、新商品のプロモーションや拡販に結び付けてきました。


prev next
All Rights Reserved, Copyright (C)2005 Fuji Electric Retail Systems Co., Ltd.