「天使のブラ」、「恋するブラ」でおなじみの女性インナーウェア・メーカー、 トリンプ・インターナショナル・ジャパン。 ワコールの牙城だった日本のインナー市場にあって、 めざましくシェアを拡大している。 実はトリンプはドイツに本社がある外資系企業だということをご存知だろうか。 吉越氏のおおらかな雰囲気のせいか、 「外資」という言葉が持つ固いイメージからかけ離れ、 すっかり日本に定着している。

応接間のドアから「お待たせしました!」と入ってきた吉越氏はスラリとした長身で、 とにかく元気がいい。 声にも張りがあり、 快活によく笑う。 代表取締役社長という肩書きだが、 社内の「さん」づけ運動で部下たちからも「吉越さ〜ん」と気軽に声をかけられるというのもなるほど、 うなづける。

最近では「がんばるタイム」や禁煙報奨制度など、 ユニークな取り組みがマスコミで報道されるトリンプ。 まずその話題から向けてみると。「喫煙が身体によくないことはみんな承知していることですが、なかなかやめられない。 そこで会社で禁煙宣言をすれば家族に一律3万円、 キャッシュで報奨金を出しましょう、 というアイデアを出したんですよ。 対象とした約330人のうち、138人がたばこを吸っていたのですが、 ほとんどの人が禁煙しました。 すごいことでしょう?」

ちなみに禁煙を挫折すると罰金として自主的に6万円支払わなければならないとか。 吉越氏自身も愛煙家だったが、数年前にきっぱり禁煙した。 「おかげで太った社員が増えましてね」と笑う。
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「がんばるタイム」は毎日午後12時30分から2時30分までの2時間、私語、電話、オフィス内の歩き回りを禁止し、 自分の仕事だけに集中するための制度。

94年にスタートした制度だが、今だに継続している。 「天使のブラ」はこの「がんばるタイム」中に誕生したという秘話もある。だらだらと仕事をしないでメリハリをつけたことでいいアイデアが生まれるのだ。
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「欧米では仕事時間中にぺちゃくちゃおしゃべりする習慣はありません。 日本では工場では効率がよいのに、オフィスでは生産性が非常に悪い、と以前から思っていました。 日本人の情緒的な面はよい場合もあるのですが、仕事にそれを持ち込むのはどうかな。 何でも隣の同僚に聞くのではなく、自分でじっくりと考えること。 集中して仕事を進める時間帯があってもいいのでは」

こうした考え方は吉越氏の国際的な経験に基づいてのこと。 欧米、アジア各国をくまなく歩き、海外の人々と出会って磨き上げられた国際感覚からきている。 その発端はドイツ・ハイデルベルク大学への留学。 そして、そこで出会ったフランス人の奥様にあるようだ。 |